僕はサラリーマンとして一企業に勤めている。ジャンル的には外食産業ということになろうか。
完全無欠、混じりっけなしの平社員・模範的社畜として日々それなりに頑張っている。
さて、仕事で大活躍するのがハンコである。僕が扱う主な書類は社内限定であることが多いので、一般的なシャチハタ、いわゆるシャチハタ株式会社のネーム9というインク内蔵型ハンコを決裁印として認められているのだが、正直いうと、そうでないとやってられない。
僕の仕事における1日あたりの平均押印回数は約50回、これをイチイチ朱肉と書類とを往復するとしたら・・・考えたくないわ。
ここで質問である。世間の皆さんはシャチハタが寿命を終える瞬間を見たことがあるだろうか?
ここで言う「寿命」というのはインク切れではなく、インキを新品に交換しても押印できなくなる状態を指すものである。
多くの方はインク切れぐらいは経験するも、シャチハタ自体の寿命に立ち会ったことが無いのではないだろうか?
実は、先日それを体験した。
10年程度愛用してきた僕のシャチハタ。インク交換回数は数知れない。
今回も印影が薄れてきたのでインク交換に踏み切ったのだが、待てど暮らせど印影が濃くならない。
通常インキ交換後12時間で印影が濃くなるそうだが、僕の10年モノのシャチハタは24時間経っても息を吹き返すことはなかった。
ネットで調べたところ、一般的なシャチハタの寿命は7年程度、押印回数は10万回程度だという。
僕のは10年使用、押印回数は上記のとおり約50回/日とすると、僕が勤める会社の“額面上”の年間勤務日数230日ほどなので、10年間で約11万5千回である。つまり平均寿命を超えた大往生を迎えたのである。
とはいえ、「給料泥棒」と罵られた時も、「お前の代わりなんていくらでもいるわ」とドヤされた時も、ずっと一緒だったシャチハタとの突然の別れは切ない。僕は悲しみにくれた。
そこで、シャチハタ供養のつもりで寿命が尽きる原因を調べてみた。
どうやら劣化原因は以下2点が有力のようだ。
【押印面ゴムが劣化する】
押印面は多孔質性のゴムとなっており、それが劣化。硬化したり欠けたりする。
【インキが染み出す通路が目詰まりする】
人間の血管にコレステロールが溜まるが如く、インクが通過する細い通路が異物等で目詰まりし、インクが染み出さなくなる。
ついでに、シャチハタの構造と歴史ついてはシャチハタ株式会社の公式サイトで学習できる。
構造はもちろんのこと、今や社会インフラのひとつと言っても過言ではない同製品が、決して順風満帆な歩みではなかった歴史を知った。
掌に納まる小さなシャチハタネーム9にも偉大なる歴史在り。
僕は新しいシャチハタを迎え、前線へと復帰する準備を進めるのであった。
ーつづくー
興味深い内容、ありがとうございました。