福島県いわき市で酉小屋を見たよ。

再び、福島県いわき市である。
以前のエントリーにて福島県いわき市のとある会社とお仕事させて頂いている件について触れた。
年末年始の休暇明け早々、同地のお客様に新年のご挨拶をする為に訪れたのである。





いわき市は福島県内でも南の海沿いに位置し、温暖な気候の土地とされるが、この季節はやはり寒い。

さて、今回は同地で目撃したちょっと面白い風習を記録しておきたい。
まず下の写真をご覧頂きたい。

水の枯れた水田に竹やら藁やらで編んだ小屋のようなものがあるが、これは『酉小屋』と呼ばれるものらしい。
「鳥」ではなく「酉」であることを念押ししておく。

さて、この酉小屋、全国的且つ一般的には「どんど焼き」や「松送り」等と呼ばれる、お正月飾りを燃やす火祭りに供される。
目的はどんど焼きも酉小屋も同じではあるが、どんど焼きが山のように積み上げた藁にお正月飾りを突っ込んで燃やすのに対して、酉小屋は小屋の中で甘酒を作って飲んだり、餅を焼いて食べたりと、お正月らしいどんちゃん騒ぎを楽しみ尽くした後に、お正月飾りを小屋に放り込んで、共に燃やしてしまうという。
このように小屋内に煮炊きできるような囲炉裏がある。

毎年1月7日、日没後に酉小屋は開催される。

僕がいわき市にお邪魔したのは1月7日から8日にかけてであった。
お付き合いのある地元企業の方に酉小屋へ誘われたが、余所者である僕は遠慮させて頂いた。というより人見知りで腰抜けなので、地元の方のコミュニティに入る度胸が無かったのだ。せっかく門戸を開けて頂いたというのに。

ビジネスホテルのベットに寝転がり、見知らぬ天井を眺めながら僕は酉小屋に思いを馳せる。
この日ばかりはVODのエロ番組表をチェックするのは後回しだ。

日没後、シンと静まる寒空の下、酉小屋に地元の人々が役目を終えたお正月飾りを持ち寄って集まる。
小屋の中でお正月らしいご馳走を一通り楽しんだ後、お正月飾りを小屋の中に運び込んで、小屋ごと火をかける。最初小さな炎は、やがてパチパチと小さな破裂音を伴いながら小屋全体に回る。大きくなった炎は真っ赤に暖かく人々を照らし、真冬の引き締まる夜空に鮮やかに舞い上がる火の粉。燃え盛る小屋のまわりではしゃぐ子供たち・・・
今年一年の無病息災の祈りと共に小屋は焼け落ち、やがて静寂と寒さが戻ってくる・・・
(全部、イマジンです)




この酉小屋、少子高齢化の為に開催する地域が減少しつつある一方、伝統行事を見直す活動により復活するケースもありと、一進一退が続いていると聞く。

僕個人としては酉小屋という伝統行事そのものの継続について意見を挟む余地は無いが、子供の頃にこの行事を経験するとしないとでは、その後の人生の豊かさが変わってくるような気して仕方がない。
つまり、僕のように薄っぺらくてショッパイ中年男性を減らしていくためにも、幼少期を思い出す度に暖かい気持ちになれそうな、こんな行事を残して欲しい。

今からVODのエロ動画を鑑賞してハッスルなオマエがなにを偉そうにと言われそうなので、ここで筆を置くこととする。




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