日曜ビッグバラエティ 日本→欧州20000km“巨大コンテナ船に乗せてもらいました!を観たよ

先日、テレビ東京にて『日曜ビッグバラエティ 日本→欧州20000km“巨大コンテナ船に乗せてもらいました!”TV初密着SP』というドキュメンタリー番組を観た。
日本郵船所属の巨大コンテナ船・アドニス号(NYK ADONIS)に同乗し、東京大井埠頭からフランスのル・アーブルまで20,000km、40日間の航海に密着取材するものである。
船長や船員たちの仕事や生活、ソマリア海賊への対策等、普段は見ることが出来ない映像が満載で大変見応えがあった。

※テレビ東京「日曜ビッグバラエティ 日本→欧州20000km“巨大コンテナ船に乗せてもらいました!”TV初密着SP」より
さて・・・実は自分はコンテナ船というものに、あまり良い印象を抱いていない。いや、コンテナ船というより、自身の苦い体験の一部にコンテナ船が組み込まれていると言ったほうが良いだろう。




10数年前、1月の富山県氷見港。その日で富山県滞在は3日目であった。
僕は突風が吹きすさむ岸壁に立ち、寒さと任務を達成できないことで、激しく苛々していた。

当時、自分は中国で製造した機器を日本へ輸入する仕事をしていた。
その第1号機が日本に到着する予定日、乙仲業者(海運取り扱い業者)から連絡が入る。荒天で件の機器を搭載したコンテナ船が富山県氷見港に入れず、計画通りに荷物が届けられないという。
既にスケジュールは遅れ気味で、これ以上の遅延は致命的だ・・・
東京にいた僕は居ても立っても居られず、コンテナ船が着岸する富山県に向かった。
まぁ、僕も若かったんだろうね。実際のところ、コンテナ船が着岸していない状況で押しかけても意味は無いのだ。
コンテナ船が着岸→コンテナの荷下ろし作業→通関→乙仲業者の倉庫へ移動→デバンニング(コンテナから荷物を搬出)と、コンテナ船が着岸後も、その中の荷物とご対面するまでに数日間を要する。

というわけで、僕は計4日ほど富山に滞在するも、結局荷物とはご対面できず、渋々東京に戻ることになる。
自然の猛威に抗うことは困難なことは百も承知なのだが、着岸できないコンテナ船に苛立ちを隠せなかった。
ちなみに、件の荷物とのご対面は結局1週間ほど後になり、納期遅延を解消するために死ぬほど苦労することになる・・・

さて、このように僕にほろ苦い思い出を残すコンテナ船であるが、自身が流通に携わったこともあり、コンテナ発明がもたらした物流革命や意義は十分に理解しているつもりだ。
そして、冒頭で触れたドキュメンタリー番組『巨大コンテナ船に乗せてもらいました!』でコンテナ船クルー達の素晴らしい仕事を見て、若かりし頃の自身の苛立ちについて反省した次第である。

そこで、今回のエントリーでは同ドキュメンタリーでの気付きや、コンテナを用いたインターモーダル輸送(説明後記)の、ちょっとSFっぽくてクールなポイントについて触れてみたい。

【巨大コンテナ船 アドニス号(NYK ADONIS)について】
ドキュメンタリー番組『巨大コンテナ船に乗せてもらいました!』に登場する主役級メカ(敢えてこういう子供っぽい言葉を使いたい雰囲気)。
番組でもスペックについて簡単に触れていたが、ここでは更に掘り下げてみたい。

船名:NYK ADONIS
総排水量:105,644t(参考:戦艦大和 64,000t)
全長×全幅:332.15m×45.2m(参考:戦艦大和 263m×39m)
建造年:2010年
建造メーカー:IHI
TEU:9,592 TEU=Twenty-foot Equivalent Unit → 20フィート・コンテナ(およそ長さ6m×幅2.4m×高さ2.4m)を9,592個積めるという意味

更にmarinetrafficのサイトを参考にされたし。なんとアドニス号の現在位置まで特定できる。

ちなみに、2018年10月現在、世界最大のコンテナ船は三井商船所属の「MOL Triumph」とされる。20,000TEUと、なんとアドニス号の2倍以上のコンテナ搭載能力を有する。
今後建造されていくコンテナ船のトレンドとしては、積載量の増大は当然として、ローエミッション化が重要と思われる。
MOL Triumphでも将来の排出ガス規制に備え、主機関燃料を重油からLNG(液化天然ガス)への換装可能な設計となっている。
ドキュメンタリー番組『巨大コンテナ船に乗せてもらいました!』でもアドニス号がエミッションコントロールエリアと呼ばれる海域を通過する際は硫黄成分の排出を抑えた燃料を使用していた。今後、このような海域が拡大していくのだろう。

【ONEについて】
アドニス号について調べたところ、同船が所属する海運会社『ONE』、正式名称Ocean Network Express Pte.,Ltdに辿り着いた。
2017年7月に川崎汽船、商船三井、日本郵船の定期コンテナ船事業を統合した企業だ。
詳しいことは同社ウェブサイトに譲るとして、ここで触れたいのは同社CIのカッコよさよ。
マゼンダとホワイトを基調とした「ONE」のコーポレートカラーを纏った巨大コンテナ船、なかなか痺れるもんがある。
鮮やかな原色を施された巨大人工物ってだけで、もうSFちっくな気分だ!

【コンテナ輸送がカッコ良過ぎる件】
路上でコンテナを牽引したトレーラーを目撃するだけではコンテナの真のカッコ良さには気付くことはないだろう。
貴方はインターモーダル輸送という革命的な物流システムの一角を覗いたに過ぎないのだ。
輸送単位の物品を組み替えることなく、船舶、トレーラー、鉄道などを駆使して輸送する形態をインターモーダル輸送と呼称する。そう、輸送単位とは主にコンテナのことだ。




コンテナを数千個搭載する巨大コンテナ船が着岸。そのコンテナをオートマチックに荷下ろしするガントリークレーン。更に鉄路、トラックを駆使して内陸に輸送する・・・コンテナを核として、それの扱いに特化したスペシャルマシーンの活躍がたまらん。
コンテナという単一で巨大な物体が、ミニチュアのように何百、何千と連なる映像はあまりに非日常過ぎて、SF映画のCG画像のように見える。
以下の動画を見てほしい。SF映画のワンシーンで、よく出来た精密なプロップが動いているような錯覚を覚えないか?
そして、コンテナ輸送は完全無欠且つシステマチックで冷徹に見えながら、それを支える人間の仕事にグッとくるんだよねぇ。(今回感銘を受けたこのバラエティ番組がまさにそう)

【今、自身にできることは何か?】
模型を作ることである。
アドニス号でもONE所属の船でもないが、プラモデルの巨大コンテナ船を手に入れた。ドイツレベル製 1/700 コンテナ船 コロンボ エキスプレスである。

この模型、なにが痺れるって、コンテナの組み立てである。
分け入っても分け入ってもコンテナランナーの山・・・ちょっとウンザリしつつも、これこそがインターモーダル輸送の神髄!!とばかりに自分にも理解できない感情が漲ってくるのを感じる。

※追記
早速、巨大コンテナ船を作ってみました。→ONE(Ocean Network Express)のコンテナ船をプラモデルで作る

先日、ようやくミニクーパーを完成させたばかりだというのに、新たな戦いは既に始まっているようだ。




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